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Sunday, July 04, 2004

いつもバッドタイミング(1)

***(2へ)***

運命的な恋ってどんな恋だ?
偶然出会って上手く行くなら最高だけど
オレはいつもツイてない……

「お前さあ、アイツと付き合ってるんだろ?」
ヒサシはビールの缶を渡しながら、聞いた。
「まあね」
ヒサシと同じ大学のシュンは、男から見てもいい男だった。
「たまたま相手が降りる駅で、偶然出会ったって凄いなぁ」
シミジミとヒサシが言うと、シュンは噴出した。
「あのさぁ~偶然てのは、待ってるものじゃなくて、作るもんじゃない?」
シュンは組み合わせた手に顎を載せて笑った。

オレは昔からツイてない。

たとえば、初恋。
小六の時、夏祭りの夜。
友達と別れて、自転車を漕いでいると、川の音が聴こえる暗い道で、あの子が向こうから歩いてきた。
ちょっと気が強くて、学校ではいつもケンカばかりのあの子。
同じ班で、斜め向かいの席にいる。
家族と一緒に祭りにこれから向かうところだろう。

パチッ。

目が合った。

「バイバイ、○○子」

呼び捨てで呼んだことはそれまで一度も無かった。
ちょっと驚いたあの子の顔が、暗闇の中でも印象的だった。

カワイイナ……。

そう思った瞬間に、初恋を意識した。

「手つなぎ鬼しよう」

昼休み、校庭で始めたクラス全員の鬼ゴッコ。
鬼が捕まえた相手のつないでいる手を切ると、捕まった者たちは逃げられる。そんなルール。

ヒサシは鬼だった。
あの子は木の下で、幹に寄りかかって、見ていた。同じ年頃の少女たちとはつるむことが無く、どこか孤高な感じがした。

「切った~!」

誰かが叫んだ。

「切ってないよ~」

文句を言っても、もうみんな逃げている。
「なあ、見てたろ? 切ってないよな?」

あの子はちょっと躊躇ったみたいだ。

「……切ってたよ」

ポツリ。

それで遊びは終わった。結果はヒサシの大負け。
通り過ぎる時、ヒサシはあの子に囁いた。

「今に見てろよ」

あの子はちょっと驚いた顔をしていた。

「オレさ、お前のこと好きだよ」

そう思わせぶりに言ったのは、隣の席の女の子。
斜め向かいのあの子は、びっくり顔で、マジマジとヒサシを見ていた。

タイミングが悪すぎた。

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